『フラッシュポイント』は、ライターのジェフ・ジョーンズとアーティストのアンディ・キューバートによって手がけられた、DCコミックスにおける2011年の記念碑的なクロスオーバー・イベントである。物語は、バリー・アレン(ザ・フラッシュ)が逆-閃光(リバース・フラッシュ)による母親の殺害を防ぐために過去へタイムトラベルしたことで現実を変えてしまい、トーマス・ウェインがバットマンとなり、スーパーマンが「被検体1」として幽閉され、アトランティスとセミスキラが世界を滅ぼす戦争に突入しているディストピアの別次元のタイムラインを作り出してしまう姿を描く。
La Scena
バリー・アレンは、自分が知るすべてが変貌してしまった改変された現実の中で目を覚ます。このディストピアのタイムラインでは、母親のノーラ・アレンは生きているが、父親のヘンリーは刑務所ではなく、数年前に心臓発作で亡くなっていた。ザ・フラッシュ、ジャスティス・リーグ、そしてスーパーマンは存在せず、シチズン・コールドがセントラル・シティの主要な守護者となっている。西ヨーロッパは、アクアマン率いるアトランティス軍とワンダーウーマン率いるアマゾン族による終末戦争によって荒廃しきっていた。助けを求めてバリーはゴッサム・シティへと向かいバットケイブに入るが、そこでバットマンから容赦ない襲撃を受ける。恐怖したことに、このダークなバットマンの正体が、クライム・アレイで幼い息子のブルースが殺害された後に自らヴィジランテの mantle(マントル)を継いだトーマス・ウェインであることをバリーは知る。エオバード・ソーン(リバース・フラッシュ)が歴史を改変したことに気づいたバリーは、自分にスピードをもたらした落雷と化学薬品の爆発を再現しようと試みる。1度目の試みでは大火傷を負うが、2度目の落雷によって能力が復活し、負傷も癒え、タイムラインのために戦うべくフラッシュのコスチュームを再び作り上げる。
Significato
『フラッシュポイント』はDCコミックスの歴史において最も影響力の大きいストーリーライン・イベントの一つであり、マルチバースを永久に変革した。ジェフ・ジョーンズによって執筆された2011年のコアとなるミニシリーズの結末において、崩壊したタイムラインはニュー・アース、ヴァーティゴ・ユニバース、アース50(ワイルドストーム)を統合し、「プライム・アース」と呼ばれる単一の現実へとまとめ上げ、DCの全社的なリブートである「ニュー52」を始動させた。印刷物の枠を超えて、『フラッシュポイント』は「ザ・ボタン」クロスオーバー、「ドゥームズデイ・クロック」、そして2022年の直接の続編『フラッシュポイント・ビヨンド』といった数々のコミックサーガの物語的基盤となった。メディアミックスにおいては、アニメ映画『ジャスティス・リーグ:ザ・フラッシュポイント・パラドックス』(2013年)でDCアニメイテッド・ムービー・ユニバース(DCAMU)の口火を切り、『ジャスティス・リーグ ダーク:アポカリプス・ウォー』(2020年)でそれを完結させた。テレビドラマではCWの『THE FLASH/フラッシュ』シーズン3で適応され、2023年の実写映画『ザ・フラッシュ』として大銀幕に登場し、映画の世界観をジェームズ・ガンのDCUへとリセットするための架け橋として機能した。
Design
『フラッシュポイント』の美学は、クラシックなDCのスーパーヒーローたちをダークで荒々しく再解釈した姿によって定義されている。バリー・アレンが自身の指輪にアクセスしようとすると、自分のスーツではなくプロフェッサー・ズーム(リバース・フラッシュ)の黄色いスーツが飛び出し、バリーは能力を取り戻した後、象徴的な赤いフラッシュのコスチュームを自ら作り直さなければならなくなる。『フラッシュポイント』のバットマンであるトーマス・ウェインは、ダークグレーのアーマー、赤いレンズのアイグラス、胸のエンブレムの背景にある赤い円、そして彼の殺傷を伴う手法を際立たせるホルスター付きのサイドアームを特徴とした、明確にミリタリー調のスーツを着用している。「被検体1」に指定されたカル=エルは、ポッドが墜落した直後にメトロポリスの地下に幽閉され、太陽エネルギーを奪われて通常の筋肉質なヒーローとしての肉体発育を妨げられた、虚弱で痩せ衰えた姿へとリデザインされている。一方、皇帝アクアマンは、ワンダーウーマンとの激しい衝突による戦闘の傷痕が刻まれたアーマーを纏っており、彼女のアマゾン族のバトルスーツは、ヨーロッパに対する彼女の残虐で征服的な権力を反映している。
